第22回コミュニティ心理学シンポジウム(1997)発表要旨
「電子メールによる心理相談の試み」
小坂守孝(横浜市立大学 他)
心理面に悩みを抱える人に対する新しい援助資源として電子メールの活用を試みた。筆者は「臨床心理士」取得をきっかけに、1995年12月初頭に心理相談用のホームページを開設し、本人と、本人を抱える家族や友人の悩みをメールで受け付けた。ホームページではメールのやりとりを通して「共に考える」ことを強調し、料金は「当面無料」とした。
1997年2月末迄に56人(男 35人、女21人)からのべ 146通の相談があった。相談者は20代(男18人、女14人)が一番多く、次いで30代(男11人、女5人)・40代(男3人)・60代(男1人)の順であった。自分の悩みを寄せたのは40人、家族と友人・知人についての相談は各々8人ずつであった。相談内容別では、精神医学的問題が5人、身体症状が4人、行動が16人、性格が15人、対人関係が7人、人生目標が8人、その他が1人であった。相談回数は23人が1回のみであったが、本人では継続も多く、最高は8回であった。メールの発信時間は全メールの25%(36通)が23時から5時までの夜中の時間帯に発信されている。居住地は東京都が19人で他の都道府県より圧倒的に多かった。筆者の返事の内容は(1)受容、(2)質問・確認、(3)コンサルテーション、の3つであった。まず筆者が相手の悩みを受容していることが伝わるよう配慮した。次に、メールの内容について、相手がどのような気持ちで書いたかをより理解するために質問や確認を行った。この内容は相談に答える者の理論的立場によって微妙に異なると思われる。本人以外からの相談や、本人でも相談の内容によってはあえて当人の心の問題を扱わずコンサルテーションを行った。
今後の課題は、1)責任を持って紹介できる相談機関のリストが必要、2)返事が遅れる場合は即座に相手に届くという電子メールの長所を生かし切れない、3)効果測定、である。