勇敢さ(hardiness)と心理的ストレス反応との関係.

小坂守孝

本稿は「パフォーマンス研究」に執筆した論文の誤字部分等を修正したものです。
本稿を引用する際は、文献欄に以下のように記載して下さい。

小坂守孝(1996).勇敢さ(hardiness)と心理的ストレス反応との関係.
パフォーマンス研究,3,35-40.(1996)


I.はじめに

 広範囲にわたる意図的な自己表現としてのパフォーマンス(小坂,1995)における心理学からの
アプローチとしては、視線行動(佐藤,1994)など、実際に表出される非言語表現に注目したもの
が代表的である。一方、人間の内面的な部分とパフォーマンスの関係についても、これまでに
Stern & Henderson(1993)による精神分析理論を用いた理論的探究や、欲求(小林,白倉,北西,
1994;山口,1995)との関係に焦点を当てた実証的研究などが行われている。特に、個人を捉える
枠組みとしての人格理論は心理学における人間観を代表するものであり、パフォーマンスに関して
人格理論を中心とした実証研究を行うことは、パフォーマンスと人間の内面的な部分との関係を
探究する上で有益であると思われる。
 ところで、意図的な自己表現としてのパフォーマンスを行うためには、ある程度の精神的な健
康度を保っていることが必要と思われる。小林ら(1994)は神経症患者を「意図された行動が取
れない」群としており、既にパフォーマンスの基準として精神的健康度を導入している。だが、
精神科への入院や通院、そして心理療法が必要でない範囲の人間においても、精神健康の程度に
よってパフォーマンスに影響があるものと考えられる。
 人間の精神的健康度に影響を及ぼすものの一つとしては心理的ストレス(cf. Lazarus & 
Folkman,1984)が考えられる。心理的ストレスとは人間と環境との関係において生じるプロセス
であり、それは個人の資質を超えるような環境からの要請が生じたときの状態を言う。そのよう
な状態に陥った場合には多かれ少なかれ混乱をきたし、普段通りの行動が取れなくなり、場合に
よっては身体的健康にも影響を及ぼすと考えられている。
 だが、心理的ストレスを体験した全ての人が等しく混乱をきたしたり健康を崩すわけではない。
多くの先行研究においても心理的ストレスを引き起すような出来事(ストレッサー)は健康状態
の9%程度の分散しか説明していない(小坂,吉田,1992)。1980年代には多くの研究者が心理的
ストレスと健康状態を媒介する要因として、社会的支援・自尊心・性格特性などを取り上げ、実
証研究を積み重ねてきた。
 Kobasa(1979)は実存的パ−ソナリティ理論(Kobasa & Maddi,1977; Maddi,1988,1989)の考
え方を中心にして、「高ストレス下で健康を保っている人々が持っている性格特性」が、関与
(commitment)・統制感(control )・挑戦(challenge )の3つの要素によって構成されると
考え、この3つの総体としての性格特性を勇敢さ(hardiness )と名づけた。関与とは、自分自
身や人生の様々な状況に自分を十分に関わらせている傾向とされる。統制感とは、責任感も含め
自分が出来事の推移に対して一定範囲の影響を及ぼすことができると信じ行動する傾向とされる。
挑戦とは、安定性よりもむしろ変化が人生の標準であり、成長の機会であると捉える傾向とされ
る(Orr & Westman,1990)。
 以上より、勇敢さとは人間の自分自身や世の中に対する関わり方の指標であると考えられる。
それは単なる固さやストレス「耐性」ではなく、困難な状況の中から自分で道を切り開き、スト
レスを乗り切る力である。また、それは向こう見ずな攻撃のようなものではなく、自分の置かれ
た状況をよく把握する力も含まれており、自己決定の力とも言える。
 日常生活においてパフォーマンスが要求されるのは、自分が何かを相手に伝えなければならな
い時であろう。特にそれは自分への評価、自分の社会的地位、自分の収入、広く考えれば自分の
人生を左右するような場合が多いのではないだろうか。こういった状況というのはストレスのか
かる状況下と言える。つまり、ストレスを乗りきれるような性格特性を兼ね備えていることは、
効果的なパフォーマンスをするために必要なことであると考えられる。
 従って、本研究では、「勇敢さが高いならばストレスを受けた際に示す反応は少ない」という
仮説を検証するために、勇敢さがストレッサー(ストレス源)を体験したことによるストレス反
応に及ぼす効果の有無について検討することを目的とした。

II.方法

 因果関係を問うための条件の一つとして、勇敢さとストレス反応との間に時間的順序がある必
要がある(Asher, 1976)ので、2時点においてデータを収集することとした。
 対象者 首都圏の二つの大学の男女 224名に対して、心理的にストレスがかかると予想される
前期試験前にあたる6月末と、夏休み明け直後にあたる9月末の2回にわたって質問紙調査が実
施された。そのうち記入洩れがあった59人と、30歳以上の1人が分析から除外され、最終的に分
析対象者は 164人となった。
 尺度 1時点目においては勇敢さ、そして2時点目においては心理的ストレス反応の質問紙を
施行した。各尺度の詳細を以下に紹介する。

1. 勇敢さ
 勇敢さを測定する尺度はこれまでに数多く作成されている(小坂,1992a)。だが初期の勇敢さ尺
度には、尺度をZ得点化することによって他の研究との得点比較が困難になることや、挑戦尺度
が健康を予測していないといった問題点が指摘されている(Hull et al.,1987)。このような問
題点を解決することを目的として、Kobasa(1986)によって50項目から構成される勇敢さ尺度
(Personal Views Survey:以下PVS)が、そしてBartoneら(1989)によって45項目から構成され
る勇敢さ尺度(Dispositional Resilience Scale:以下DRS)が作成された。Funk(1992)によっ
てDRSの使用が推奨されているものの、筆者がDRS項目を忠実に翻訳して大学生212名に施行したと
ころ、全体での信頼性(α係数)は.75だったものの、各要素の信頼性は関与が.70で統制感では
.54、挑戦では.52と著しく低いものであった(小坂,1994)。
 以上より、本研究ではPVS(Kobasa,1986)を独自に翻訳(小坂,1992b)して用いた。翻訳の際
に日本語として表現がわかりにくい項目については意訳を行った。この尺度は、関与が16項目で、
統制感と挑戦は17項目ずつであり、50項目中39項目が逆転項目である。評定は4段階評定(0・
1・2・3)で実施され、尺度作成者に従って、三要素ごとに粗点を合計し、更に各粗点を、各
々が取りうる最高得点(関与:48、統制感と挑戦:51)で割った後に 100倍したものを各要素の
得点とした。各々の値の高さは、各々の特性の高さを示している。
 尺度作成者によると、各要素の得点を合計して3で割ったものを単一の特性としての勇敢さの
得点としているが、Funk(1992)が指摘するように、勇敢さの合計得点を中央値分割して高低に
群別する方法は、1つの要素だけが極端に得点が高く、他の要素の得点が極端に低い場合にも勇
敢さが高いと判断されてしまう恐れがあるが、勇敢さの高い人は一貫して勇敢さの3つの特質
(関与・統制感・挑戦)において高いと記述されている(Kobasa,1979)。従って勇敢さの高低
を判別する際には3要素各々の得点を採用することとした。

2. 心理的ストレス反応
 これまでに様々な変数がストレス反応の指標として採用されてきたが、不安・うつ状態などの
情緒的反応は、研究者が心理的ストレスを代表する反応として仮定して選択した反応なので、実
際には個人がストレッサーを経験した場合に示す反応ではないという可能性や、心理的ストレス
を構成する要素の一部に過ぎない可能性がある(新名・坂田・矢冨・本間, 1990)。
 本研究では、ストレッサーを経験した場合に示す総合的な反応を測定する目的で作成された心
理的ストレス反応尺度(PSRS:新名・坂田・矢富・本間,1990 )を採用した。この尺度は情緒的
反応と認知・行動的反応の2側面について測定することを目的としており、情緒的反応は「抑う
つ気分」「不安」「不機嫌」「怒り」の4因子に分かれ、認知・行動的反応は「自信喪失」「不
信」「絶望」「心配」「思考力低下」「非現実的願望」「無気力」「引きこもり」「焦燥」の9
因子に分かれ、合計53項目で構成されている。この尺度は4段階評定で実施され、合計得点の高
さは心理的ストレス反応の高さを表している。
 
III.結果

 対象者間の学校別・男女別の各変数の得点には有意差が見られなかった。勇敢さの三要素(関
与・統制感・挑戦)と年齢の平均値、標準偏差、中央値、信頼性(Cronbachのα係数)、そして
変数間の相関係数を表1に示す。各変数の信頼性はおおむね保持されており、勇敢さの三要素の
内部相関も適度に高いものであった。

                      *                      *                     *

表1  勇敢さの三要素(関与・統制感・挑戦)と年齢の基本統計量、信頼性、
      相関係数 (N=164).
--------------------------------------------------------------------------------
                                      Cronbach's       (相   関   係   数)
               M      SD     Median     alpha       関与      統制感    挑戦
--------------------------------------------------------------------------------
関与         70.44   8.85    70.83      .95         ---
統制感       63.83   7.89    64.71      .94         .60**
挑戦         63.15  10.34    62.75      .91         .44**     .35**
年齢         20.27   0.99     ---       ---         .12       .13       .16*
--------------------------------------------------------------------------------
*:p<.05, **:p<.01

                      *                      *                     *

 先行研究より、勇敢さの高低は各要素の高低のみではなく、それらの組み合わせによって判断
すべきであると考え、関与、統制感、挑戦の得点を中央値によって高群、低群に分けた後に、更
に被験者を「3要素全てが高い」「関与・統制感が高い」「関与・挑戦が高い」「統制感・挑戦
が高い」「関与のみ高い」「統制感のみ高い」「挑戦のみ高い」「3要素全てが低い」という8
つの群に分けた。このカテゴリーを独立変数とし、心理的ストレス反応の各要素を従属変数とす
る分散分析を行った。この結果は、PSRSの各下位尺度についての平均・標準偏差、信頼性
(Cronbachのα係数)、勇敢さの三要素との相関と共に表2に示す。

                      *                      *                     *

表2  PSRSの基本統計量・信頼性・勇敢さとの相関係数と、勇敢さカテゴリーにおける
      分散分析の結果 (N=164).
---------------------------------------------------------------------------------------
  PSRS                         Cronbach's      (勇敢さとの相関係数)       (ANOVA)
 下位尺度           M      SD    alpha       関与      統制感    挑戦       df    F
---------------------------------------------------------------------------------------
(情緒的反応)	
抑うつ気分         5.36   5.69   .92        -.30**    -.28**  -.24**     162   2.29*
不安               4.91   5.17   .89        -.21**     -.33**   -.14       162   1.93
不機嫌             4.16   3.81   .85        -.22**     -.27**   -.16*      162   1.96
怒り               2.31   2.98   .82        -.18*      -.22**   -.20*      162   2.01
  合計得点        16.74  15.52   .95        -.27**     -.32**   -.21**     162   2.49*
	
(認知・行動的反応)
自信喪失           1.82   2.22   .77        -.38**     -.29**   -.25**     162   2.75*
不信               1.29   1.79   .67        -.35**     -.26**   -.20**     162   1.51
絶望                .98   1.59   .74        -.38**     -.28**   -.15       162   1.51
心配               2.22   2.35   .76        -.23**     -.26**   -.19**     162   1.72
思考力低下         1.74   2.30   .84        -.33**     -.26**   -.25**     162   3.10**
非現実的願望       2.76   2.45   .72        -.22**     -.24**   -.28**     162   1.74
無気力             1.63   2.16   .78        -.42**     -.29**   -.15       162   3.10**
引きこもり         1.30   1.88   .81        -.33**     -.31**   -.24**     162   3.41**
焦燥               1.04   1.56   .69        -.18*      -.22**   -.11       162    .98
  合計得点        14.78  14.59   .95        -.39**     -.34**   -.26**     162   3.10**

PSRS合計得点      31.52  29.05   .97        -.34**     -.34**   -.24**     162   2.92**

---------------------------------------------------------------------------------------
*:p<.05, **:p<.01

                      *                      *                     *

 PSRSの合計得点や各下位尺度の得点の信頼性係数のほとんどは.80以上であり、尺度の信頼性は
保持されていた。また、勇敢さの三要素との相関係数についてはPSRSの合計得点と全ての下位尺
度が負の相関を示しており、そのほとんどが統計的に有意であった。そして、勇敢さの高低のカ
テゴリーについての分散分析では、情緒的反応では抑うつ気分と合計得点、認知・行動的反応で
は自信喪失、思考力低下、無気力、引きこもりと合計得点、そして心理的ストレス反応の合計得
点に対して有意差が見られた。そこで、これらの尺度に対して多重比較(TukeyのHSD検定)を行
った(表3)。

                      *                      *                     *

表3  勇敢さカテゴリーごとのPSRS(合計・下位尺度)の平均値
-------------------------------------------------------------------------------------------------
                              (情緒的反応)       (認   知   ・   行   動   的   反  応)    PSRS
                             抑うつ    合計      自信    思考力            引き    合計    合計
  勇敢さカテゴリー      N     気分     得点      喪失     低下    無気力  こもり   得点    得点
-------------------------------------------------------------------------------------------------
(1)三要素全てが高い     35    3.11     10.94      .94     1.14      .69     .49     8.43   19.37
(2)関与&統制感が高い   18    5.79     19.05     1.68     1.26     1.53    1.37    13.42   21.11
(3)関与&挑戦が高い     19    5.71     18.14     2.43     2.29     2.57    1.71    18.86   32.47
(4)統制感&挑戦が高い    7    4.12     11.35     1.24     1.00      .82     .88    10.18   37.00
(5)関与のみ高い         17    3.71     11.71     1.29      .79     1.79     .64    12.36   38.94
(6)統制感のみ高い       10    6.24     21.82     1.88     2.06     1.76    1.35    17.12   28.90
(7)挑戦のみ高い         14    5.50     15.70     2.00     1.20     1.30     .90    13.20   24.07
(8)三要素全てが低い     44    7.66     22.32     2.86     2.91     2.61    2.27    21.84   44.25
-------------------------------------------------------------------------------------------------
TukeyのHSD 検定における     (1)-(8)   (1)-(8)  (1)-(8)  (1)-(8)   (1)-(8) (1)-(8) (1)-(8) (1)-(8)
 p<.05の組合せ                                          (5)-(8)
-------------------------------------------------------------------------------------------------

                      *                      *                     *

その結果、有意差のあった全ての尺度において、「3要素全てが高い」群と「3要素全てが低い」
群との平均値の間に5%水準の有意差が見られた。また、そのほとんどについて「全て高い」群が
一番ストレス反応得点が低く、「全て低い」群が一番ストレス反応得点が高かった。

IV.考察

 表2の相関係数より、勇敢さの三要素(関与・統制感・挑戦)が高いとPSRSの合計得点や各下位
尺度が低くなることがわかり、仮説の一部は検証された。そして総合的なストレス反応に注目した
場合、関与・統制感・挑戦が3つ共に高い場合が一番ストレスを受けにくく、3つ共に低い場合が
一番ストレスを受けやすいことがわかった。従って、本当の意味で勇敢さの高さとストレス反応と
の関係が明らかになった。全ての勇敢さ研究はそれ自体が勇敢さの妥当性を確認することになるた
め(Funk,1992)、この結果は勇敢さ研究において有益なものである。
 幾つかのストレス反応の下位尺度については明らかにはされなかったものの、下位尺度の項目数
の少なさや尺度の信頼性を考慮した場合、止むを得ないことと思われる。このことから、勇敢さの
高さは効果的なパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があることが明らかにされた。
 だが、本研究には今後検討していかねばならない課題も幾つかあるので、以下に挙げることと
する。
 
(1)ストレッサー測定の是非について
 従来ストレッサーを測定する方法としては、人生上の大事件を経験したことによる生活変化を測
定する「社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale)」(Holmes & Rahe,1967)や
日常経験しなければならない煩わしさに対する認知的評価を測定する「日常精神混乱(daily 
hassles)」(Kanner,Coyne,Schaefer,& Lazarus,1981)の2つが主流である。だが、調査対象者ご
とに出来事の項目を適切に選ぶことには困難が伴うと思われる。そして出来事の評価的な得点づけ
や昔の出来事の記憶は勇敢さによって影響を受ける(Ganellen & Blaney,1984)。以上より、本研
究では出来事の受け止め方についての個人特性による差を測定するためには被験者に共通のストレ
ッサーを想定することが望ましいと考え、前期試験の時期を選んで質問紙調査を行ったが、ストレ
ッサーそのものは測定しなかった。だが、試験以外のストレッサーの影響についても統制する必要
があり、今後の課題としたい。

(2)サンプルの特性について
 相対的に比較すると大学生は社会人ほどの心理的ストレスにさらされていない可能性がある。だ
が心理的ストレスは主観的なものであり、ストレスにさらされた時の反応のしかたに差があるかど
うかは現時点では明らかではない。しかし、パフォーマンスを要求される状況は社会人の方が圧倒
的に多いことが予想される。特に勇敢さとパフォーマンスとの関係を明らかにしていくためには、
主に社会人を対象としたより多くの調査研究が必要と思われる。

(3)実際のパフォーマンスとの関係
 本研究では実際に表出されるパフォーマンスについては測定していない。勇敢さとパフォーマン
スとの関係についてより明らかにする方法の一つとしては、パフォーマンスが要求される特定の状
況における、勇敢さの高低による実際のパフォーマンスの違いを明らかにすることが考えられる。
だが、現時点では「パフォーマンス」そのものを測定するための基準が確立しているとは言えない。
パフォーマンス測定の試みの一つとして佐藤(1995)による「ASパフォーマンスシート」があるが、
これは自己報告式のものであり、被験者の認知に歪みがある場合には被験者のパフォーマンスを正
しく反映しない恐れがある。パフォーマンスをどの分野から研究するにしても、客観的なパフォー
マンスの切り口を確立していくことが急務であると思われる。

(4)人格障害とパフォーマンス
 本研究では、精神的健康度とパフォーマンスとの関係について、心理的ストレスを経験した際の
反応の自己評価をパフォーマンスの一つの指標としてきた。だが、精神的健康度の基準はその依っ
て立つパーソナリティ理論などによって異なるので、より幅広い領域においてパフォーマンスとの
関係についての研究が行われることが望ましい。
 ところで、パフォーマンスの評価においては、自分の表現によって相手にインパクトを与えるこ
と、そして積極的に他者と関わりをもつことが良しとされるような傾向にあると思われる。だが、
そのような行動を全て積極的に評価することには注意が必要である。例えば精神疾患の分類のため
のマニュアルの一つであるDSM-IV(American Psychiatric Association,1994)におけるある種の
人格障害(境界性人格障害・演技性人格障害・自己愛人格障害など)の診断基準の中には、様々な
形で過度に自己を表現することや、他者との距離感がないような対人関係が含まれている。DSM-IV
の診断基準にはフロイト以降の精神分析理論における見解が影響を及ぼしており、中でもMahler,
Pine,& Bergman(1975)の「分離−個体化理論」、Kernberg(1976)の「神経症人格構造・境界
人格構造・精神病人格構造」等の理論は上記のような特徴を理解するのに有用である。よって今
後パフォーマンス研究の一部として注目する価値があると思われる。

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